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ペットとの被災生活の備えについて考える
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災害への備えを考えるとき、飼い主ならばペットについても責任をもって考えることが必要になります。最近では、避難所へペットを一緒に連れていく「同行避難」も広く受け入れられるようになってきました。ペットとの被災生活のための心構えをご紹介します。

被災時を想定し、情報を集めて選択肢を増やす

ペットも人間もともに災害を乗り越えるためには、自宅の防災の強化を考えると同時に、ハザードマップなどで各種災害の危険度を確認しておきます。そのうえで、被災してしまったらスムーズな避難生活が送れるよう、予め考えておくことが大切です。
避難が必要になったときに備え、まずは自宅近くの避難所を調べておきましょう。近年は、ペットも一緒に安全な場所に避難する同行避難が推奨されていますが、自宅近くの避難所でペットの受け入れが可能かどうかは予め確認しておきたいもの。現在は不可能な場合でも、受け入れ可能になるように飼い主仲間を募って働きかけることもできるかもしれません。
避難所での生活では、ペットと飼い主が一緒に過ごせるケース、ペットだけを一角に集めた各自のケージ内で過ごさせるケースなど、場所によって異なります。
そうしたことを考えると、受け入れ可能な場合であっても、ペットにとって避難所暮らしがベストな選択とは限りません。飼い主は避難所で暮らしてもペットは自宅で生活をさせたり、ペットだけを遠方の親類や知人に預けたり、などの方法がとれるかもしれません。また、飼い主が近くにいないと不安がるペットの場合、一時的に自家用車の中で一緒に過ごすほか、ペットが宿泊可能な施設に泊まるという方法もあります。
ペットも飼い主も安心して避難生活を乗り切るための選択肢は、多いにこしたことはありません。

避難生活に備えて用意しておきたいコト

被災した場合を考えて予め用意しておきたいコトの代表格が、しつけと健康管理、迷子対策です。
とくに避難所などで共同生活をする場合、基本的なしつけができていないとペット自身にとっても辛いものになってしまいます。避難所生活でも使うことになるキャリーバッグやケージに慣れさせておいたり、ムダ吠えしないようにしつけたり、決められた場所で排せつできるようにしておいたり。なにより、飼い主の指示に従えるようにしておくことが大切です。
そして、いつもと違う状況に置かれても乗り切れるよう、健康管理をしておきましょう。普段から健康を保つように心がけることはもちろん、不妊去勢手術を済ませ予防接種なども定期的に受けておくことで、集団生活でも安心して過ごすことができます。また、病歴や飲み薬などを管理しておき、避難時にもわかるようにしておくとさらに安心です。
災害が起こったとたんにペットが迷子になってしまう可能性もあり、普段からの迷子対策も欠かせません。身元保証の意味合いを持つマイクロチップを装備することに加えて、見やすい迷子札を下げておくことで多くの人の目にとまり見つけやすくなります。また、ペットの写真を用意しておくと、迷子の際に役立ちます。

避難生活に備えて用意しておきたいモノ

また、避難生活を支えるモノの準備も大切です。最低でも用意しておきたいのが以下です。

・5日分のフード、水、常備薬
・食器
・ペットシーツや猫砂などのトイレ用品
・首輪やリード
・キャリーバッグやケージ

フードやトイレ用品などの消耗品は、できれば1か月分くらい用意しておきたいもの。普段から使っているものを多めに買ってストックし、消費期限が切れないように使いながら買い足してゆくローリングストックにすればムダが出ません。
また、段ボールや粘着テープ、新聞紙やごみ袋もぜひ準備を。段ボールに保温性のあるごみ袋をかけてハウスにしたり、段ボールの中に細かく切った新聞紙を入れて猫トイレにしたり。粘着テープは名前を書いて迷子札替わりにでき、ケージにペットの情報を記すときの掲示板のようにも使えます。

ペットとの避難生活を少しでも快適に過ごすために、用意できることから始めてみませんか。